伊勢屋の歩み

明治三〇年創業
一二〇年以上の歴史を持つ
老舗漬物店

  • 約140もの店が軒を連ねる黒門市場の中でも、最古参のひとつである「伊勢屋」。その創業は、明治30年にさかのぼります。当時は製造拠点を三重県伊勢市に、小売りの店を黒門市場に構え、のちに「伊勢沢庵」と呼ばれることになるたくあんを売りにしていました。それというのも、伊勢で採れる大根は細長く水分が少なく、煮物よりはたくあんに適したものだったのです。たくあんをつくって売る店が伊勢市内にも多数ひしめく中、トップクラスの生産量と知名度を誇っていたのが伊勢屋。漬物ひと筋に歩んできた歴史は、ここから始まりました。

  • 天皇家へ献上した
    「伊勢沢庵」

    大根をしっかり干して乾燥させてから、秘伝のぬか床に漬け込んで何ヶ月もじっくり熟成させるという製法を守り続けた伊勢屋の「伊勢沢庵」。その味の評判が功を奏してか、昭和28年、皇太子殿下(当時)の伊勢神宮参拝に際して、宮内庁より伊勢屋の「伊勢沢庵」が献上品に選ばれました。

  • おいしさを追求する飽くなき探究
    それが伊勢屋の味を守る事

    人々の食の嗜好が変化していく中で、伊勢屋は時代に合った漬物を追い求め、試行錯誤しながら品目を増やしてきました。今なおロングセラーとして愛される「水なすのぬか漬」や「大根の割漬」といった商品も、そうやって開発されたもの。「大根の割漬」は、丸ごと1本の大根に薄いスライス状の切込みを入れる職人の技。その繊細な包丁さばきでつくるため、大変手間ひまがかかる逸品です。けれどこの作業を機械化してしまうと、大切な大根のみずみずしさが奪われ、仕上がりに影響するため、今も頑固に手仕事を守り抜いているのです。

季節を楽しむ
食卓の一品として

漬物が「伝統的保存食」から「旬を活かした生鮮食品」へと進化しつつある昨今。
伊勢屋でも、北海道産昆布やリンゴ酢などを使ったフレッシュ感豊かな「手前漬」に力を入れています。
「手前漬」という名前は、「自分たちの信じる手づくりのおいしさを届けたい」という伊勢屋の思いのあらわれ。
今では、一流ホテルや三つ星レストランなどにも 評価をいただいている逸品の漬物です。
春は菜の花、夏は水なすにきゅうり、秋は赤かぶ、冬は白菜。伊勢屋の店頭では
食べごろを迎えた四季折々の食材が次々登場しては、お客様を楽しませています。
単なるごはんの添え物ではなく、むしろ食卓の要。季節を運ぶおかずのひと品として味わいたい漬物。
あなたの一汁一菜を豊かにしてくれること、間違いなしです。